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2025.02.09

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「まほろば」の主役は誰だったのか

そりゃ全員でしょ、とも言いたいし。
長女のミドリだね。とも思う。
とりあえず、稽古場ではミドリが主役ということで共通用語として私は使っていたけれど
、主役候補は二人いた。それは、
女の全ての顔を持つキョウコ、
観客目線で物語が進んでゆく外部の存在マオ
どちらかであった。
マオを主役と見立てて芝居を作ったら、
全く別物の「まほろば」が出来てしまったとも思えるし、想像するとワクワクする。
でもそれは、あまりに尖りすぎてしまうので、
やめておいた。
おそらく、キョウコであったであろうと思う。
でもキョウコを正面に立たせてしまうと
色々と不都合が出てきてしまうので、
やはりここは豪快にミドリが芝居を回すのが一番分かりやすかった。

キョウコの役どころは難しかった。
妹であり、娘であり、母であり、孫、
恋人であるキョウコ
キョウコは様々な仮面を持っている。
年齢も30代ではあるが、不明と言ってもおかしくない。
キョウコを演じる女優さんはプレッシャーであろうと思う。
しかし今回の稽古場では花村美緒さんは、その様なプレッシャーを感じず稽古をしていた印象であった。
公演後他の女優陣から聞くと、そうでもなかったようだけれど…
少なくとも、私も花村さんにはそんなに大きなものを求めなかった。
私も女系家族に生まれ、次女である。
次女であるキョウコの気持ちはよくわかる。
キョウコは、ひょうひょうとそこに居たら良いのだ。
周囲をよく観察し、自身の立ち位置を理解し、
時には周囲をドン引く様な大胆な行動をし、
時には隠れてひっそり過ごすのが次女なのだ。
そして、キョウコは絶対自分がじゃなきゃ嫌なんだ。
それがキョウコという人物。
あれもこれもなんて、悩むような女じゃなく、
自分に甘く、世の中を優雅に生きる女なのだ。
はたから見るとキョウコの生き方が苦しそうだ、
辛そうだって思う人いるのかもしれない。
そんな事はキョウコ自身も知っている、
でもそんな生き方が自分に合っているし、
美しいとすら思っているのがキョウコという女なのだ。
そしてキョウコは、火男仮面を被り、
男性的な一面も持ち合わせた魔性の女なのだ。
私はキョウコみたいな生き方が一番好き。

だから花村さんには、演技的なアドバイスはしたけれど、
あとは稽古場で周りを見ながら居てくれたらいい。
そう思っていたし、本人にもそれがぴったり合っていたと思う。

でも、花村さんは見た目もとてもかわいいし、
本当は熱い女なので次回はちょっと苦労しながらも、
人生を変えるような芝居を一緒に作りたいと思う。
それが出来たら、彼女はもっと化けるかもしれない。

@m_i_oo_i_m

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